カナダ、カルガリー大学名誉教授、スティーブン・ヘレロ博士。190cmを超える長身に、ゆったりした物腰の氏はサンフランシスコ生まれの69歳。クマが生きる原生の森に入る人々にとって世界的なバイブル「ベアー・アタックス」の著者として多くの人々から敬愛されています。
1967年、グレイシャー国立公園で2名の女性がヒグマに襲われる事件が発生しました。衝撃を受けた彼は、事故はなぜ起きるのか、それを防ぐすべはないのか考えはじめました。当時、北米の国立公園では、クマへのいい加減な対応から、多くの死傷事故が発生していたのです。
彼はたくさんの事件現場に出向いて分析を行いました。事件の多くは、餌付けられたり、放置された食物やゴミに味をしめたクマが起こしていました。つまり、人間が行動を歪めたクマたちでした。また、クマを不用意に驚かせてしまうことが、防衛行動としての反撃を招くことが明らかになりました。彼は長年の研究の成果を人々に伝えるために本をまとめたのです。
その後、北米の国立公園の利用システムは、クマの存在を前提として慎重に設計されるようになりました。かつてのような事故は稀になり、しかも野生の躍動に接することができます。彼の研究はその変革の原動力の一つでした。
国立公園でさえ厄介者として殺され続けてきた日本のクマたち。しかし今日、保護は進展し、当然ながらクマたちは人目を気にしなくなりつつあります。その姿は北米のクマたちと変りません。北米の経験に学んできちんと仕組みを整えるのか、放置して悲惨な前例を踏襲してしまうのか、日本の国立公園は今その岐路に立っています。
ヒグマは凶暴極まりない恐怖の猛獣ではありません。正しく接すれば、かなり大きな体に少々神経質な犬と大差ありません。しかし、決してティディーベア扱いすることはできない強力な野生の生物でもあります。ヘレロ博士の研究はその実態を明らかにしました。
知床財団の創立20周年を記念して、私たちは先生のお話を伺う機会を作りました。たくさんの皆様のご臨席をお待ちしております。

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| 知床の自然環境を調査・研究している知床財団が、「知床キムンカイ・プロジェクト(仮称)」を始動させます。ヒグマをはじめ野生動物の高密度生息地である知床は、世界自然遺産の登録による観光客増加から、人間との接近事故が心配されています。プロジェクトは問題解決へ向け、北海道内の専門家らがチームを結成し、2006年度から3年計画にて実施。GPS(全地球測位システム)にて、ヒグマの行動追跡ほか、体毛を採取してDNAを分析し、親から独立したクマがどのように移動しているかなども調査します。AIR
DOは、ヒグマとヒトが共に生きる道を探る、安心して暮らせる知床を目指して、この活動を応援していきます。
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