カラフトマスを捕らえたヒグマ
地の涯の秋は駆け足でやってきます。お盆すぎれば、吹く風に秋の匂いさえ感じられます。残暑とは無縁の世界です。
秋のヒグマのお仕事は、冬眠に備えてもっぱら食べること。彼らの秋の食事のメニューは、ダントツ第1位はドングリ(ミズナラの実)、第2位はサルナシの実、第3位はカラフトマスなどなど。しかし、これらの順位は固定ではありません。年によってドングリが不作であれば、別なものの順位が繰り上がります。何でも食べる雑食性がヒグマの強みで、いつも食べる餌が無ければないように、柔軟にお食事を変えるのです。
カラフトマスが主要な餌の一つということも、知床のヒグマの特徴です。知床の周辺は、この魚が非常に豊富なことで知られていますが、今日のようにヒグマがたくさん食べることができるようになったのは、ここ十数年のことです。かつては、人工孵化事業のために河口で一網打尽にされたり、砂防ダムで魚が遡上できなかったり、あるいは、川に出てくるヒグマたちを人間がどんどん捕ってしまったりなどの理由で、ヒグマが魚を獲る姿を見ることは稀でした。その後、知床ではヒグマの保護が進展し、孵化事業の魚の捕獲が見直されて自然産卵が増えたことなどから、今や知床はサケマスを獲るヒグマを見ることができる北海道内唯一の地域になりました。
知床の秋。人々もカラフトマス漁で大忙し
知床の秋は、漁師の人々もヒグマもカラフトマスを獲るのに大忙しの季節です。たくさん獲れるのに「マス」と言う名前がついたばかりに、値段も安くあまり広く流通していませんが、英名では「ピンクサーモン」、れっきとしたサケです。いわゆる「秋サケ」シロザケと味は見劣りせず、海外ではむしろ好まれています。
また、体長40〜50cmと現代の核家族にはお手ごろサイズです。皆さんも、安くて美味しいカラフトマスをどうぞ食べてみてください。

  (財)知床財団 統括研究員・事務局長 山中正実
http://www.shiretoko.or.jp/ http://www.shiretoko.or.jp/ZAIDAN.HTM


知床の自然環境を調査・研究している知床財団が、「知床キムンカイ・プロジェクト(仮称)」を始動させます。ヒグマをはじめ野生動物の高密度生息地である知床は、世界自然遺産の登録による観光客増加から、人間との接近事故が心配されています。プロジェクトは問題解決へ向け、北海道内の専門家らがチームを結成し、2006年度から3年計画にて実施。GPS(全地球測位システム)にて、ヒグマの行動追跡ほか、体毛を採取してDNAを分析し、親から独立したクマがどのように移動しているかなども調査します。AIR DOは、ヒグマとヒトが共に生きる道を探る、安心して暮らせる知床を目指して、この活動を応援していきます。

 
 
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