長野県、岩手県など、今年も全国でクマ出没による騒ぎが広がっています。知床はといえば、斜里町だけで9月末現在すでに目撃件数450件あまり。危うく900件をこえそうだった昨年に比べればまだましだけど毎年のことです。一昨年の北陸方面を中心とする史上最大のクマ騒ぎは、まだ記憶に新しいところですが、そんな特別な年の最も出没が激しかった一つの県の件数をはるかに上回る目撃が、知床では毎年発生しているのです。
農作物への被害や市街地へのヒグマの侵入などのトラブルも多発しています。私の家でも今年はもうすでに3回もノコノコ歩いているヒグマの姿を窓から見かけました。そんな中、事故だけは起こしてはならないと、知床財団の対策チームは人とヒグマの共存の道を模索する地道な危機管理活動に日夜取り組んでいます。日常的に人とヒグマが近接しているにもかかわらず、この20年余り知床では人身事故は起きていません。
ヒグマを観察する観光船

最近、知床では新しい動きも出てきています。ここ数年、断崖絶壁が連なる海岸を回る小型観光船が増えてきているのですが、これらの目玉がヒグマになってきているのです。各観光船業者は、ヒグマが見えることを前面に打ち出してお客さんにアピールしています。実際,船に乗ると雄大な海岸線とヒグマの姿を堪能することができます。おそらく最低でも年間5万人をこえる人々が、ヒグマの姿に歓声を上げているでしょう。ヒグマウオッチングは、知床ではすでに一つの産業になったと言っても良いでしょう。百害あって一利なしと、全国各地で厄介者扱いばかりされるクマたち。しかし、知床ではクマが地域経済の一端も担っています。そんな所は日本で知床だけです。美しくも厳しいこの北の地の自然とともに生きてきた知床の面目躍如です。

  (財)知床財団 統括研究員・事務局長 山中正実
http://www.shiretoko.or.jp/ http://www.shiretoko.or.jp/ZAIDAN.HTM


知床の自然環境を調査・研究している知床財団が、「知床キムンカイ・プロジェクト(仮称)」を始動させます。ヒグマをはじめ野生動物の高密度生息地である知床は、世界自然遺産の登録による観光客増加から、人間との接近事故が心配されています。プロジェクトは問題解決へ向け、北海道内の専門家らがチームを結成し、2006年度から3年計画にて実施。GPS(全地球測位システム)にて、ヒグマの行動追跡ほか、体毛を採取してDNAを分析し、親から独立したクマがどのように移動しているかなども調査します。AIR DOは、ヒグマとヒトが共に生きる道を探る、安心して暮らせる知床を目指して、この活動を応援していきます。

 
 
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