しんしんと降り積もる雪。厳冬の季節です。初冬、丸々と太りながらも、なごりおしげに川や海岸をさまよって魚を拾い食いしていたヒグマたちもさすがに姿を見せなくなりました。彼らはどこに行ってしまったのでしょうか? クマの仲間は食物が不足して寒さの厳しい冬は冬眠するという独特の習性を持っているのです。冬眠をする哺乳類はいくつかいますが、その多くは、例えばシマリスのように大幅に体温や心拍数を下げて死んだように眠ります。外気温が低い限り、巣穴から取り出してつついても起きようとはしません。しかし、クマは違います。体温の低下はわずかで、何かあれば目を覚まして活動することができます。妊娠した母グマは何と冬眠中に出産と子育てまでしてしまいます。飲まず食わずの冬眠は、単独のクマで3月から4月までの4〜5ヶ月、出産したメスグマにいたってはゴールデンウィーク明けまで続きます。中型以上の哺乳類で冬眠するのはクマ類だけです。しかも、冬眠中に出産までするのは哺乳類の中で唯一です。わずかな代謝の低下で長期間眠ることができる能力は並外れたものであり、冬を越すためのすばらしい野生の能力ですが、その詳しい生理的機構はまだ良くわかっていません。長期間の宇宙旅行のために、このクマの能力を参考にできないかと、あのNASA、アメリカ航空宇宙局が研究していると言う話もあるほどです。

ヒグマの冬眠穴

1月末、知床の海が消える日が近づいています。ある日突然オホーツクブルーを流氷が覆いつくし、海は大氷原へと姿を変えるのです。その変貌は長年知床に住んでいても毎年感動します。ちょうどその頃、森の奥の深い雪の下では、新しい命が生まれているはずです。暖かい冬眠穴で、子グマたちの春を待つ日々が始まります。皆さんも一度冬の知床に来てみませんか。



  (財)知床財団 統括研究員・事務局長 山中正実
http://www.shiretoko.or.jp/


知床の自然環境を調査・研究している知床財団が、「知床キムンカイ・プロジェクト(仮称)」を始動させます。ヒグマをはじめ野生動物の高密度生息地である知床は、世界自然遺産の登録による観光客増加から、人間との接近事故が心配されています。プロジェクトは問題解決へ向け、北海道内の専門家らがチームを結成し、2006年度から3年計画にて実施。GPS(全地球測位システム)にて、ヒグマの行動追跡ほか、体毛を採取してDNAを分析し、親から独立したクマがどのように移動しているかなども調査します。AIR DOは、ヒグマとヒトが共に生きる道を探る、安心して暮らせる知床を目指して、この活動を応援していきます。

 
 
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