SIRETOKO EYES




日本国内とは信じられないほど高密度にヒグマが生息し、人々もまた暮らしを営んでいる知床。人とヒグマがともに暮らすためには、いろいろな工夫が必要です。つい10年ほど前まで、全国ほとんどの地域でクマ対策といえばイコール、クマを殺すことでした。もちろん知床でも、駆除は選択肢の一つですが、私たちはこれまで20年余りにわたって、彼らとの折り合いの付け方を試行錯誤してきました。その主な手法が威嚇弾を用いた追い払いです。私たちはヒグマを殺すことなく追い払う手法を、全国に先駆けて導入・実践してきたのです。
北米では狩猟用のショットガンで発射できるゴム製の弾や花火のように爆発する弾を用いてクマを追い払っていることを知った私たちは、その輸入に取り組みました。前例のない銃弾の輸入には法律上の手続きに2年もの年月を要しました。その後十数年、過去何百回もの追い払いに成功し、私たちはノウハウを積み重ねてきました。
左からゴム弾、花火弾、実弾

知床では、人々が歩く遊歩道の横で、ヒグマがシカを倒して饗宴を決めこんでしまうことさえあります。そんな時、私たちはヒグマからシカを奪い取って撤去するという極めて危険な荒療治をやらなければなりません。それでも熟練した私たちのスタッフは、威嚇弾と訓練されたクマ対策犬のコンビネーションで、それを実行することが可能です。
呑気に道路沿いを歩いていたり、川でサケを獲っているヒグマが日常的に見られる知床。そこでは、たくさんの人たちが大喜びで観察しています。しかし、近づき過ぎてヒグマを苛つかせていることに気付かない人、餌を投げ与えるとんでもない人など、間一髪の問題がしばしば起こります。また、国立公園入口近くで人と頻繁に接触して慣れてしまうと、ヒグマは隣接した市街地にまで侵入し、結局は駆除せざるを得なくなります。そんな悲劇や人身事故を防ぐために、私たちは追い払うのです。知床の野生を象徴するヒグマを目にする機会に恵まれた人々にブーイングを受けながらも追い払わざるを得ないのです。道路での問題を防ぎ、観察も可能にするシャトルバスへの乗り換えシステムの拡充や、動物観察のルールがない現状ではしかたがないのです。追い払いをする私たちを見かけられたら、その苦渋の選択をどうかご理解下さい。

  (財)知床財団 統括研究員・事務局長 山中正実
http://www.shiretoko.or.jp/


知床の自然環境を調査・研究している知床財団が、「知床キムンカイ・プロジェクト(仮称)」を始動させます。ヒグマをはじめ野生動物の高密度生息地である知床は、世界自然遺産の登録による観光客増加から、人間との接近事故が心配されています。プロジェクトは問題解決へ向け、北海道内の専門家らがチームを結成し、2006年度から3年計画にて実施。GPS(全地球測位システム)にて、ヒグマの行動追跡ほか、体毛を採取してDNAを分析し、親から独立したクマがどのように移動しているかなども調査します。AIR DOは、ヒグマとヒトが共に生きる道を探る、安心して暮らせる知床を目指して、この活動を応援していきます。

 
 
  クチコミ北海道 | 機内誌ピックアップ情報 | きたキッチンおすすめ | おすすめイベント
   
 
AIR DO  
このサイトに含まれる全てのコンテンツの無断複製・再利用を禁じます。
© Hokkaido International Airlines Co, Ltd. All rights reserved.