SIRETOKO EYES




知床の森の中には、1年に1回1週間だけ子供たちが暮らす村ができます。それは知床自然教室です。広く寄付を募って自然環境などを保全していくナショナルトラスト運動、その国内の先駆けの一つ「しれとこ100平方メートル運動」の恒例行事として、自然教室は今年で28年目を迎えました。ヒグマが高密度に生息する森の中の野営生活、そのためにはヒグマと共存するためのさまざまな工夫が不可欠です。
食糧をヒグマに取られないように高く木に吊す子供たち
テントで寝る場所、食事を作ったり食べたりする場所、食糧を保管する場所は、それぞれ離れた場所にします。ご飯を食べるためには、朝露にズボンを濡らしながら、重たい食糧を運びながら、この3ヶ所を行ったり来たりしなければなりません。食糧袋は高い木の上に力一杯引き上げて、クマに取られないようにします。焚き木集めにまわりの森に入る時は必ず声を出し、クマたちに突然出会ってびっくりさせないように注意しなければなりません。森のあちこちに目につくクマたちの生活の跡、引率の指導員たちから話を聞き、なぜそこまでしなければならないのかを子供たちは自分自身で感じ、考えるのです。
北海道内ではヒグマの森に暮らすどころか、「ヒグマの足跡発見で○○小学校の遠足中止!」などということがごく普通に新聞紙上をにぎわせます。知床自然教室はむしろヒグマたちと同じ大地に暮らし、野生が息づく森や夜の闇から自然への畏怖の心を培うことを重視しています。教室の長年の取り組みは、ヒグマとともに暮らすためには、とても慎重な心配りが必要なことを示しています。一方、それを行うことができれば、知床ほどのヒグマの高密度地域でも彼らの息づかいさえ感じる森暮らしが可能なことも示しています。
毎年、自然教室に集うたくさんの子供たち。彼らは本物の自然と野生とのつき合い方を学んで巣立っていっています。


  (財)知床財団 統括研究員・事務局長 山中正実
http://www.shiretoko.or.jp/


知床の自然環境を調査・研究している知床財団が、「知床キムンカイ・プロジェクト(仮称)」を始動させます。ヒグマをはじめ野生動物の高密度生息地である知床は、世界自然遺産の登録による観光客増加から、人間との接近事故が心配されています。プロジェクトは問題解決へ向け、北海道内の専門家らがチームを結成し、2006年度から3年計画にて実施。GPS(全地球測位システム)にて、ヒグマの行動追跡ほか、体毛を採取してDNAを分析し、親から独立したクマがどのように移動しているかなども調査します。AIR DOは、ヒグマとヒトが共に生きる道を探る、安心して暮らせる知床を目指して、この活動を応援していきます。

 
 
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