SIRETOKO EYES




ヒグマはめったやたらと襲いかかってくる動物ではありません。知床の私たちにとって、ヒグマとの出会いは日常茶飯事です。そっとしておけば、少々大きめで気難し気味な犬と大差ない感じというのが私たちの感覚です。しかし、知らず知らずのうちに彼らを怒らせてしまうことが稀にあります。どんな動物でも同じですが、クマはびっくりさせられるのが大嫌いです。お互い気づかないままばったり出会うと、自分の身や子供を守ろうとして攻撃的になることがあります。そんな万一の時に備えて、私たち知床財団のスタッフたちが、必ず腰にぶら下げて歩いているものがあります。それがクマスプレーです。
クマスプレーの噴射。使用する際はご注意を。
このスプレーはカプサイシンというトウガラシの辛味成分を濃縮した液を噴射します。私たちも何度も実際に使っています。今やこれが無いと、どうも腰がさびしくて落ち着きません。まさに知床の森歩きの必需品と言って良いでしょう。
以前、これで大失敗をしたことがありました。道路にクマが出ているとの緊急通報を受け、現場に急行。たまたまその時、いつも使う威嚇弾などを持ち合わせていませんでした。「エ〜〜イ、仕方ない」と、私はずかずかとクマに近づいてスプレーを一気に噴射。彼はすっ飛んで逃げて行きました。意気揚々と帰還した私は、ふと空になったスプレー缶を見てびっくり仰天。そこには「練習用」とのシールが・・・。そう言えば、いつもはオレンジ色の霧が噴出すのに、今日はどうも白っぽかった。練習用にはカプサイシンはまったく入っていません。よくまあクマも逃げてくれたもんです。 ちょっと背筋に冷や汗でありました。十分な気合は、クマをも撃退するということか?
知床の森歩きになくてはならないスプレーですが、飛行機には持ち込みも、預けるのもできないのでご注意を! 知床自然センターでは、レンタルもしているのでご活用下さい。


  (財)知床財団 統括研究員・事務局長 山中正実
http://www.shiretoko.or.jp/


知床の自然環境を調査・研究している知床財団が、「知床キムンカイ・プロジェクト(仮称)」を始動させます。ヒグマをはじめ野生動物の高密度生息地である知床は、世界自然遺産の登録による観光客増加から、人間との接近事故が心配されています。プロジェクトは問題解決へ向け、北海道内の専門家らがチームを結成し、2006年度から3年計画にて実施。GPS(全地球測位システム)にて、ヒグマの行動追跡ほか、体毛を採取してDNAを分析し、親から独立したクマがどのように移動しているかなども調査します。AIR DOは、ヒグマとヒトが共に生きる道を探る、安心して暮らせる知床を目指して、この活動を応援していきます。

 
 
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