SIRETOKO EYES





3月。知床はまだ白銀の世界。けれど、しっかりした日差しは春の兆しを囁いています。この時季の楽しみは、スキーやスノーシューでの森の散歩。雪の上には、森の住民たちの暮らしぶりを伝える「手紙」が描かれています。ちょろちょろと小さな足跡はノネズミたち。大きく深いの跡はエゾシカ。翼の跡が見事に雪面に広がり、毛と鮮血が散っているのは、が小さな動物を襲った跡でしょう。  
足跡にゆっくりついて回ると、冬の森に暮らす動物たちの日々の生活が目に浮かびます。時には、食う者食われる者の野生の現実を描いたドラマを見ることができるのです。獲物を追う猟師のような気分になって、動物たちが残した手紙を読み取って歩くことを「アニマルトラッキング」といい、北米などではナチュラリストたちの趣味の1つになっています。  
私たちのヒグマ調査でも足跡を追って彼らの生活を調べます。ある時、ヒグマの冬眠穴を探しに行き、新しいヒグマの足跡を見つけました。足跡をたどって一生懸命雪の斜面を登っていた時、突然、ハイマツの藪の中から、低いうなり声。あっ、しまったと思う間もなく、クマが突進してきました。雪を蹴散らしながら激しいダッシュと後退を繰り返します。こりゃ、まずいと、その場から引き下がりましたが、これは「ブラフチャージ」といい、こちらに来るな!という意味の彼らの威嚇行動です。後からわかったのですが、このクマは子グマを連れてハイマツの中で日向ぼっこを楽しんでいたところを邪魔されて怒ったのでした。こんなことは滅多にあるものではありませんが、春の雪山歩きも不注意厳禁です。 純白の衣をまとった知床連山が感動的にそびえ立つ大風景。
きらめく雪の中、知床の森の散歩を楽しんで見ませんか? 知床自然センターではスノーシューなどの貸し出しも行っています。

  (財)知床財団 統括研究員・事務局長 山中正実
http://www.shiretoko.or.jp/


知床の自然環境を調査・研究している知床財団が、「知床キムンカイ・プロジェクト(仮称)」を始動させます。ヒグマをはじめ野生動物の高密度生息地である知床は、世界自然遺産の登録による観光客増加から、人間との接近事故が心配されています。プロジェクトは問題解決へ向け、北海道内の専門家らがチームを結成し、2006年度から3年計画にて実施。GPS(全地球測位システム)にて、ヒグマの行動追跡ほか、体毛を採取してDNAを分析し、親から独立したクマがどのように移動しているかなども調査します。AIR DOは、ヒグマとヒトが共に生きる道を探る、安心して暮らせる知床を目指して、この活動を応援していきます。
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