日本百名山、羅臼岳を擁する知床連山。今年も登山シーズンがやってきました。西にオホーツク海、東に根室海峡と国後島を望み、原生の魅力溢れる縦走路は、多くの人々を引き付けてやみません。この稜線上の野営地には、頑丈な金属製の箱が置かれています。これは泊る時に食糧やゴミなどを一時的に保管する保管庫で「フードロッカー」と呼ばれています。
知床のヒグマは高密度です。おまけに長年保護されているクマたちは人を恐れることはなく、そこにテントがあっても平気で歩き回っています。テントの中でいい匂いをぷんぷんさせて料理をしたり、寝る時に食糧などを中に保管していると、近くを通りかかったクマがのっそり現れるということが起きかねません。そうなれば、夜暗い中クマも人間もパニック必至。大雪山国立公園では、ヒグマがテントを破って食糧を奪う事件が発生したことがあります。これは人身事故に至らなかったのが不思議なくらい危機的な事件でした。
北米の国立公園では、かつて、クマがテントを襲う悲惨な事件が発生していました。これはクマへの野放図な餌付けやゴミの放置によって、クマたちが人間の食物の味を覚えてしまったこと、そして、キャンプ地での食糧の保管方法がいい加減であったことによるものです。今、北米では餌付けやゴミ捨て、テント内への食糧の保管は明確に禁止され、ルールを破れば罰金ものです。キャンプ地ではフードロッカーの整備が進みました。
一方、日本の登山では、テントがあればクマなんて寄って来ない、食糧はテント内に片付けるものだということが今も常識です。しかし、もはや知床ばかりか、全国の国立公園でその常識は通用しなくなりつつあります。知床への登山者の皆さんにお願いします。テント内で料理しないで下さい。寝る時は食糧やゴミはフードロッカーに保管下さい。ロッカーはゴミ箱ではありません。ゴミや食糧を決して置き去りにしないで下さい。

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