知床財団の倉庫に、10年間大事に使われ続けてきた紙芝居があります。知床の山奥でのんびり暮らしていたヒグマが、捨てられていたゴミの味を覚えてしまった事がきっかけで、ゴミや人の食べ物を求めてキャンプ場をさまよい、テントを襲い、牙をむき出し人を威嚇するようなヒグマに変わってしまうというお話です。私たちはこの紙芝居を、子どもたちの集まるイベントや出張授業にいつも持っていきます。紙芝居が始まるとそれまで大騒ぎしていた子どもたちも神妙な面持ちになり、最後の一枚をめくり終えると、いつもシーンとなります。
この紙芝居の作者は、絵本作家のあかしのぶこさん。あかしさんは、『ねむたいねむいたい ももんがたち』や、ノウサギ兄弟のお話『じーっとじっと』など、知床の野生動物をテーマに数々の作品を世に送り出してきました。この紙芝居が生まれたきっかけは、あるヒグマの死でした。「こんな風にヒグマを死なせたくない。」「知床に来る人々に伝えたい。あなたの何気ない行動が彼らの運命を変えてしまうのだと。」頭で事実を理解するだけでなく、強く心で感じなければ、人間は変わらない。そう考えたあかしさんは、このヒグマに起きた出来事を読む人の心に届くように願いを込め、物語にまとめたのでした。
私たちは今、エア・ドゥの支援を受けたキムンカムイ・プロジェクトの一環として、あかしさんと一緒に絵本を作っています。『知床のきょうだいヒグマ ヌプとカナの物語』です。知床で繰り広げられる命のいとなみ。その中には私たちの心に焼き付いて離れない数々の物語があります。これらに形を与え、多くの人に伝えたい。今回はその思いを、ある出来事をきっかけに全く違う運命をたどることになる双児のヒグマのお話に託しました。絵本は知床財団設立20周年記念イベントに合わせて完成・販売開始予定です。ぜひご覧ください。

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| 知床の自然環境を調査・研究している知床財団が、「知床キムンカイ・プロジェクト(仮称)」を始動させます。ヒグマをはじめ野生動物の高密度生息地である知床は、世界自然遺産の登録による観光客増加から、人間との接近事故が心配されています。プロジェクトは問題解決へ向け、北海道内の専門家らがチームを結成し、2006年度から3年計画にて実施。GPS(全地球測位システム)にて、ヒグマの行動追跡ほか、体毛を採取してDNAを分析し、親から独立したクマがどのように移動しているかなども調査します。AIR
DOは、ヒグマとヒトが共に生きる道を探る、安心して暮らせる知床を目指して、この活動を応援していきます。
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